2017年12月27日水曜日

子宮頸がんワクチン はたともこ理論のウソ(その4)

せっかく子宮頸がんワクチンについて記事を書いたので、子宮頸がんワクチンのリスクについてもう少し詳しく解説しておきます。ネットの記事を見るとどうもリスクを過少に評価している方が多いようなので、実際のリスクがどれぐらいあるのか参考まで。

コウノドリ 14巻より

死者数3,000人は低リスクか?
子宮頸がんワクチンをネットで検索すると、死者数は年間3,000人程度だから大したリスクはないといった主張をよく目にします。死者3,000人なら子宮頸がんの死亡率は成人女子が5,000万人いるとして0.006%しかないというものです。これは明らかな間違いです。

上記はあくまで1年間の死者数をもとにしたデータです。翌年以降、生きている限り毎年リスクは繰り返されます。ですから正しいリスクは一生涯でどれぐらいあるかを算出しなければいけません。女性の平均寿命が約87歳ということですから、ここでは17から87歳までの70年間でリスクを計算してみましょう。

子宮頸がんで死亡する確率
ここからはざっくりとした計算です。数値は国立がん研究センターから引用しています。子宮頸がんの死者数が年間約3,000人、女性の寿命を87歳、17歳以上の女性が5,000万人いるとして、17歳から87歳までに子宮頸がんで死亡する確率を計算してみましょう。

〇女性が子宮頸がんで死亡する確率
70年 × 3,000人 = 21万人 ÷ 5,000万人 = 0.42%

正しいリスクを計算すると、1,000人中42人が子宮頸がんで亡くなることになります。

子宮頸がんになる確率
続けて、女性が子宮頸がんになるリスクについても見てみましょう。子宮頸がん患者が年間約10,000人ということですから、

70年 × 10,000人 = 70万人 ÷ 5,000万人 = 1.4%

日本人女性は一生涯で、1,000人中14人が子宮頸がんに罹ることになります。

100人に7人が高度異形成に

100人のうち7人が高度異形成に

切除手術が必要になる高度異形成については患者数のデータが見つかりませんでした。高度異形成の20%は5年以内に頸癌になるとされているので、そこから逆算すると高度異形成の患者数は年間約5万人(10,000人÷20%)いることになります。

高度異形成は1,000人中70人が罹るという計算です。100人に7人の割合ですから結構発病率の高い病気ではないでしょうか。1クラス(18~20人)に1人が罹る病気という計算になります。

ついでに、中度異形成の罹患者がどれぐらいいるかも計算してみます。産科婦人科学会のデータでは中度異形成の20〜30%が高度異形成に移行するとされています。中度異形成の罹患者はおよそ16〜25万人いることになります。日本人女性の22〜35%が生涯一度は中度異形成になっている計算です。

ちなみに、子宮頸癌手術患者の癌再発率は7.8%で、70万人中5.5万人が癌を再発している計算になります。こうやって1つづつ計算していくと、子宮頸がんは女性にとって決してリスクが低い病気とはいえないことがわかります。